休むも相場ですな

初心者でも使いやすい証券会社や取引業者はあるだろうが、初心者だから値動きが初心者向けということはない。どの証券会社を使っても、同じ時点での株価は同じ価格だ。もし違えば何か問題を抱えていて、投資家に不利なのではないかと。FXなどの店頭取引なら、業者によって多少の違いはあるが、大きな違いはない。

ツールの使いやすさや取引にかかる手数料などは取引業者によって異なるが、値動きはほぼ同じ。つまり、市場は一つだ。

スポーツやゲームならアマチュア向けの大会というものもあるだろう。しかし、投資の世界には、そういう便利なものはない。いつもプロのトレーダーと同じ相場で取引しているという感覚が必要だ。

相場は短期的に見ればゼロサムゲームだ。つまり、誰かが儲けた分だけ誰かが損している。最近投資を始めた人が、毎日毎日相場に立っているプロのトレーダーと同じ相場で稼げるとは思わない。

なら稼ぐことはできないのかというと、そうではない。プロではない個人投資家だからこそのメリットを生かせば良い。プロじゃなくて良かったと思えることはいくつもある。

何より大きなメリットは、休み放題ということ。しばらく相場に関わっていれば、稼げそうかどうかが、何となく分かってくる。プロはプロだから、どんな時も相場に立たなければならないだろうが、自分の資金を自分で動かしているだけの個人投資家なら、苦手な相場で無理に取引する必要はない。しばらく取引はせず、稼げそうになってから相場に戻ってくれば良い。何年休んでも、誰にも何も言われない。これが一番のメリットではないかと。

キャピタルゲインとインカムゲイン

 投資で得られる利益は2種類ある。その一つがキャピタルゲインだ。利益を得るには、買ったものを買った価格より高く売れば良い。このとき発生する利益はキャピタルゲインだ。信用取引や証拠金取引を使えば保有していないものを売ることができるが、売ったものを買い戻すことによって得られる利益もキャピタルゲインという。売買差益とも言える。

売買では損失が発生することもある。このときの損失はキャピタルロスと呼ぶ。

インカムゲインは、保有することによって得られる利益だ。例えば債券を保有していれば利息を受け取ることができる。株式を保有していれば配当金を受け取ることができる。このように、保有していることによって得られる利益をインカムゲインと呼ぶ。

保有しているだけで損失が発生することもあるが、これを「インカムロス」といいそうな気がしなくはないが、そんな言葉を聞いたことはない。保有コストなどと呼ばれることが多いように思う。

インカムゲインだけを狙って投資するという人がいるかも知れないか、それではあまり儲からないと思う。異論はあるだろうが、投資するならキャピタルゲインを狙うべきだろう。

キャピタルゲインを狙って買い、値上がりするのを待っているうちに配当金をもらい、なかなか値上がりしなかったので諦めて買値で売った結果、キャピタルゲインはゼロでインカムゲインだけが得られた、ということはあるかも知れない。が、最初からそれを狙うけではない。

金や原油などのコモディティは、そもそもインカムゲインがない。だからキャピタルゲインしか狙えない。金地金を自宅で保管するのならともかくとして、たいていは保有コストがかかるのだから、短期売買に用いるべきだ。上昇期待がなくならなくて長期保有になるとしても、常に売り抜けるタイミングを探らなければならないと思う。

純資産倍率 PBR

「純利益」は、ある一定期間に企業が稼ぐ利益であるのに対して、「純資産」は、ある時点で企業が持っている資産の価値を指す。このあたりは、複式簿記で言うところの損益計算書と貸借対照表の関係と同じだ。

株価収益率が純利益の点から株価を評価するのに対して、純資産の点から株価を評価するのが「純資産倍率」、「PBR」と呼ばれる指標だ。

企業A
株価 1,000円
発行済株式数  100万株
純資産 5億円 

企業B
株価 500円 
発行済株式数  500万株
純資産 15億円

まず、「1株当たり純資産」、あるいは「BPS(Books Value per Share)」を求める。言葉通りで、1株あたりの純資産を意味する。だから計算式もそのままで、

BPS = 純資産 ÷ 発行済株式数

となる。企業AのBPSは、

5億円 ÷ 100万株 = 500円 

企業BのBPSは、

15億円 ÷ 500万株 = 300円

となる。純資産で見た場合、企業Aの1株のほうが価値が高い。企業Aの1株は500円の純資産に値するわけで、現在の株価は1,000円だから、 2倍の株価がつけられている。このように、株価が1株当たり純資産の何倍なのかを示す指標が純資産倍率、PBRだ。つまり、

PBR = 株価 ÷ BPS

となる。企業AのPBRは、

1,000円 ÷ 500円 = 2倍 

となり、企業BのPBRは

500円 ÷ 300円 =  1.67倍

となる。純資産について考えれば、企業Bのほうが割安だ。これもPERと同じように、業種によって水準が異なるから、同じ業種の企業同士を比較するのが良い。

純資産倍率は、1倍より小さくなりにくい。例えば、企業Aの株価が下落して400円になったとしよう。発行済株式数が100万株だから、企業Aの株式をすべて買い集めるのに必要なお金は、

400円 ✕  100万株 = 4億円

みにとなる。4億円あれば企業Aの株を買い占めることができる。自分の会社だ。純資産が5億円あるのだから、売却すれば5億円手に入る。4億円支払って 5億円手に入れられれば、差し引き1億円の儲けだ。といわけで、PBRが1倍以下になると、買いが入ると期待されるために上がりやすい。

しかし、PBRが1倍を下回っているから買うべきだと考えるのは良くない。一時的に売られて株価が下がり、そのためにPBRが1倍を下回ったのなら良いのだが、長い間1倍を未満であるような企業は要注意だ。1倍を切ったのに誰も買いたがらないのだから、もしかすると何かあるのかも知れない。注意は必要だ。


株価収益率 PER

 前回の続き。

企業A
株価 1,000円
発行済株式数  100万株
純利益 8千万円 

企業B
株価 500円
発行済株式数  500万株
純利益 1億5千万円

まず、「1株利益」あるいは「EPS(Earnings Per Share)」と呼ばれる指標だ。1株当たりの利益を指す。だから、発行済株式数で割れば良い。企業AのEPSは、

8千万円 ÷ 100万株 = 80円

企業BのEPSは、

1億5千万円 ÷ 500万株 = 30円

となる。 利益をもとにして考えた場合の1株の価値は、それぞれこうなる。企業Aのほうが、1株の価値が高いといことが分かる。

では、どちらが割安なのかというと、企業Bは企業Aと比べると、株価は半分だから、もしもEPSも半分なら同じ価値を持つと言っても良い。が、EPSは半分以下だ。株価の割には利益が小さいと考えれば割高なのだろう、と考えることができるが、しかしこれを毎回考えるのは面倒くさい。だから、比で考えてしまうと、数字の大小で比較できるかは楽だ。これが「株価収益率」、「PER(Price Earrings Ratio)」、「P/E」と呼ばれるものだ。

PER  = 株価 ÷ EPS

この式から、株価が高いとPERは大きくなることが分かる。つまり、PERが大きいほど割高だ。企業AのPERは、

1,000 ÷ 80 = 12.5

となり、企業BのPERは、

500 ÷ 30 =  16.7

となる。だから、企業Aのほうが割安だ。單純にPERが小さい方が割安と覚えておいても良い。計算式から考えるとPERの意味は、株価が利益の何倍か、ということである。だから、PERの単位は「倍」を使う。

利益というのは、通常は1年間の純利益から計算するから、例えばPERが10倍であれば、1年間の利益の10倍の株価で取引されているわけだから、「10年分買われている」などと表現される場合もある。

比で考えるためには、どちらをどちらで割っても良いわけだから、計算式を

EPS ÷ 株価

としても良さそうだ。実際、これは 「株式益回り」と呼ばれる指標として存在し、使われることもある。が、株式投の場面ではPERのほうがよく使われる。

PERは相対的な使い方が良いと、私は思う。PER10倍以下なら安い、というように、水準をだいたい把握しておくことは必要かもしれないが、業種によって利益の出しやすさというのは違うのだから、PERも業種によって違ってくる。まったく違う業種の2つの企業を比較して、こちらの企業はPERが小さいので割安だ、と考えるのはどうだろう。ある業種があって、その業種ではPERはだいたい13倍から15倍なのに、ある企業は10倍しかない、だから割安だ、というように考えるのは妥当だ。あるいは、ずっとPERの大きった企業が一時的に小さくなっていれば、割安だから買うべきかどうか考えてみる、というのもアリだ。

しかし、PERが小さいから買うべきだ、と考えるべきではない。PERには予想PERと実績PERがあり、予想PERを使うことが多い。計算するときの純利益の数値として、今期の予想の数値を用いるのが予想PERで、前期の確定した数値を用いたのが実績PERだ。予想PERは企業側が発表する業績予想に基づいて計算される。だから、発表されると再計算することになる。

PERが小さいからずいぶんと割安と判断するまでは良いが、その理由を考える必要はある。業績とは関係のない理由で売られて株価が下がっているのが原因なら、問題なく買えばよい。しかし、その企業や業種で何か起こっていて、業績の悪化が見込まれることもある。予想PERに反映される前に株価が下落しているのなら要注意だ。

株価指標の必要性

現在の株価が割安なのか割高なのかを判断するために用いる指標を株価指標と呼ぶ。

企業Aの株価が1,000円で、企業Bの株価が500円だとしよう。どちらの株価が高いのか、こんな比較に意味がないことは誰にでもわかるだろう。比べられないと選ぶことはできなち訳で、それは困る。何らかの方法で比較する必要がある。

比較するときによく用いるのが、「1株あたり」だ。先程の企業Aの発行済株式数が、100万株で、純利益が8千万円だとする。1株当たりの利益は、
8千万円 ÷ 100万株 = 80円
となる。1株当たりに換算すると、120円の純利益があることになる。

同じように、企業Bの発行済株式数が500万株で、純利益が1億5千万円だとする。

1億5千万円 ÷ 500万株 = 30円

となる。同じ1株でも、企業Aのほうが稼いでいるわけだ。このようにして1株当たりに換算することで比較がしやすくなる。と言っても難しい話ではなくて、単に発行済株式数で割るだけで計算はできる。

この企業Aと企業Bのどちらが割安でどちらが割高なのかについては、次に回すとしよう。






相場は需給で決まる

相場は需給で動くというのは、これは間違いはない。受給とは、需要と供給のこと。経済学で最初に習うやつだ。

上昇しそうになく、経営も安定していなくて配当金もなく、どう考えても魅力のない銘柄であっても、それでも欲しいと思う人がたくさんいて、買い注文が集まってくれば、株価は上がる。それが一時的であるかもしれないが、他にどんな条件があったとしても、買う力が強ければ上がるし、売る力が強ければ下がる。これが相場だ。

分析というのは、多くの人が買いたがるのか、それとも売りたがるのかを判断するのだから、ある意味では相場参加者の心を読むのが相場だと言っても良い。一般的な分析方法を学ぶ理由はここにある。

仮に多くの市場参加者が使っている指標があったとして、その指標が買いサインを出したとしよう。すぐに上がるわけではないだろうが、そのサインを見て買い注文が集まってくれば、そのうち上がり始めるだろう。買いサインが出て上がったのだから、その指標の信頼性は高まる。そしてその指標を使う人が増えてくれば、指標を見て取引する人も増えるのだから、指標のサイン通りに相場が動きやすくなる。そうやって信頼性は増していく。

多くの人が使うものは、一応は学んでおいたほうが良い。か、それを信じすぎるのは良くない。「こんな方法で分析する人がいるんだなぁ」という具合に、俯瞰して学ぶべきだろう。信じすぎるとバブルに巻き込まれる可能性が高まる。

予想を当てるより外れたときの対処

投資で成功する人は予想が当たるのだろうと、投資の世界に足を踏み入れる前は思っていた。経験を積めば予想が当たる確率は多少上がるのだろうが、神様ではないから未来を予想することは難しい。

人間ができることは、外れたときの対処だと思う。ちょうど詰将棋のようなものだ。こちらがこう指せば相手はこう指すかこう指すかのどちらかだろうから、こう指してきた場合にはこう退所して、こう指してきた場合にはこう対処しよう、というように、起こりうるすべてのケースに対処していけば良い。

詰将棋なら、相手の差す手はたくさんあるが、相場には上がるか下がるかの2通りしかない。上げたときにどうするのか、下げたときにどうするのか、これだけ考えておけばよいわけだ。

短期売買では、当たったときには利益確定をして、外れたときにはロスカットする。その幅をどう決めるのかが問題となってくる。デイトレードならその日のうちにポジションを閉じなければならないが、もう少し長期で取引するのなら、当たったときの対処は翌日に回しても良い。

予想が外れたときの対処のほうが、もしかすると大事かもしれない。

ロスカットをちゃんとしていないと、一回のミスでゲームオーバーになることもある。それまで積み重ねてきた利益を一度のミスで吹き飛ばしてしまうのは、そんなに珍しいことではないだろう。高いレバレッジをかけて取引していれば、そりゃ仕方ない。わざわざ高いリターンを求めるために高いリスクをテイクしているのだから。

100%当てるのは、人間には無理だろう。外したときの損失を最小限に抑えて、あたったときの利益を最大限に伸ばすのが人間にできる技術だ。外れるものだという前提で考えておけば怖くはない。

予想とは当たらんもの

 昔の話。トランプさんが大統領になったときの事だ。

その年はとにかく忙しくて、相場を見ている暇がなかった。大統領選が近づくと株価は上がることが多いから、直前までもっておいて、直前に売却するのが安全かと思っていた。

が、忙しすぎて忘れていた。トランプさんは、事前の情報を聞く限りでは、かなり無茶な人なんだろうと思っていた。マスコミの情報を見ていても、ヒラリーさんが勝つのだろうなぁ、と思っていた。

まあ、ヒラリーさんが勝てば大きな変化はないだろうから、そのまま持ち続けていてもよいかとも思っていた。

仕事の合間に、トランプさんの勝利のニュースを見て、かなり焦った。しかし今更だ。すぐに相場は動くから、その時点ではもう遅い。諦めていた。

が、トランプさんは割とまともで、経済対策をしっかりやってくれる。おかげでずいぶんと潤った。

トランプさんが勝つとは思っていなかったことと、勝ったとしても経済は良くならないだろうと信じていたのだが、予想というものは当たらないものだ。

菅さんが首相になったら、アベノミクス路線でそのままうまくいくだろうと思っているが、違うかもしれない。

投資信託の安全性

怪しいファンドはいつの時代でもあるように思う。多分詐欺だろうなと思うものは、しばらくしてからニュースになる。ある友人が、農作物に投資するファンドの勧誘を受けたそうだ。最小金額があまり高くなかったから、ダメ元でやってみようかと思っていたら、そのファンドが破綻したことをニュースで知ったとか。

最初から騙すつもりのファンドもあるだろうが、運用がうまくいかなくなって破綻するものもあるだろうから、破綻したファンドがすべて悪質だとも言えない。投資にはリスクがつきものだから仕方ない。

悪質なものの仕組みは難しくない。例えば1口10万円に設定する。利回りは12%にしておこう。1口買えば、毎月1,000円もらえる。

募集してお客さんからお金を集めたら、集めたお金の中から分配金支払っていく。しばらくそれを続けていれば信用を得られるだろう。最初は10万円しか投資していなかったお客さんが、もしかしたら1,000万円くらい投資しえくれるかもしれない。

毎月分配金は払っていかなければならないから資産は減っていくが、ゼロになる前に新たに募集してお金を集める。それが可能な限り続けていくことができる。もちろん永遠に続けられるわけではなくて、資金が回らなくなると破綻ということになる。

預かったお金を運用などしなくて良い。ずさんな会計で使途不明金が増えると破綻が早くなるだけのこと。農作物、不動産、医療機器など、もっともらしい理由をつけてお金を集めさえすれば良いわけだ。

投資したファンドが怪しいものだったらどうしようか。預けたお金が運用されずに、いつの間にかなくなっていたらどうしようか。投資信託はその心配がない。ルールがかなり厳しく定められているから、まず大丈夫だろう。

投資信託に関わる会社は販売会社、運用会社、信託銀行の3つ。普通は証券会社や銀行に口座を開設して投資信託を買うことになるが、この証券会社や銀行が販売会社だ。預けた資金をどうやって運用するのかを決めるのが運用会社だ。うまく増やしてくれるかどうかは、運用会社次第とも言える。実際に資産を保管しているのが信託銀行だ。

こんな仕組みになっているから、例えば証券会社が倒産しても、自分の資産がなくなるわけではない。あくまでも販売の窓口に過ぎないのだから。

運用会社は運用指図をする会社だから、ここに自分の資産があるわけではない。もしもここが倒産したとしても資産を失うわけではない。

信託銀行に資産は預けられている。信託銀行は資産を預かることを専門にしているわけで、ここに預けた資産がなくなるということはまずない。仮に倒産したとしても、預けている資産はまっさきに返してもらえる。

こういう仕組みになっているから、悪意を持って不正を働くというのは難しいだろう。怪しいファンドが何故怪しいかというと、窓口も運用も保管もすべて同じ会社が行っているからで、そりゃ悪いこともしやすい。

投資信託は、法律で細かいところまで決められているから、安全性は高いと言える。もちろんだが、販売会社と運用会社と信託銀行のどれか一つが破綻しても面倒なことにはなるだろう。それでも、預けている資産がいつの間にか無くなっているというようなことはない。最低限の安全性は保たれているから安心だ。

指数を毎日チェックする

指数を確認するくらいのことは毎日すべきだろう。本業で投資をしているときには毎日毎日データを見て分析ばかりしていたが、副業ならそこまではできない。それでも日経平均、TOPIX、ダウ、NASDAQ、S&P500くらいは毎日チェックすべきだと思って、検索していたのだが、最近、アンドロイドが勝手に通知してくれるようになった。

おそらく誤操作だったと思うのだが、なぜか三菱UFJフィナンシャル・グループの株価が通知されるようになった。株を持っているときに、こまめにググって調べていたからだろう。これは便利だということで、指数を登録してみると、大きく動いたときに通知されるみたいだ。最近は荒い相場だから毎日通知される。この機能は便利だ。GoogleFinanceという機能らしい。


こんな感じて、ロック画面に表示される。朝はニューヨーク、夕方は東京の指数が通知されるの。

毎日指数くらいはチェックしようと思っても、なかなか続かない。面倒くさくなったり忘れたりする。スマホは毎日見るから、そのときに通知されていると続けられる。ほかにもアプリなどもあるから、活用していくべきだろう。

指数をチェックするというのは誰にでもできる簡単なことだが、それを続けていくのは難しい。こういう機能を使えば、三日坊主の私でも続けられる。良い時代になったなぁと思う。


ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析

株、通貨、債券など金融商品として取引できるものはたくさんあり、それぞれに適した分析方法はあるが、それらの分析方法は大きく分けるとファンダメンタルズ分析とテクニカル分析との2つに分けられる。

ファンダメンタルズ分析とは、本質的な価値を計算する方法だ。例えば株式の場合、企業の資産や収益から株式の持つ価値を計算する。それを基準にすれば、現在の株価が安いのか高いのかが分かる。安いのなら買っておけば良いし、高いのなら売ってしまえば良い。これがファンダメンタル分析の基本的な考え方だ。詳しくは別の機会に解説する予定。

テクニカル分析とは、価格の値動きをもとに分析する方法を指す。例えば、大手企業の株価が連日下げていたとしよう。業績悪化のニュースが流れるわけでもなく、その企業を取り巻く環境が悪化したわけでもなく、何もないのに下げ続けていれば、そのうち安くなったところで誰かが買うだろうから、どこかで上昇に転じる可能性は高い。これを直感で判断するのではなく、過去の株価の数値から判断するのがテクニカル分析だ。これも別の機会に解説する予定だ。

ファンダメンタル分析は、取引する対象によって用いるものが異なる。株式場合、株価収益率や純資産倍率など、株価指標と呼ばれる指標を用いるし、為替なら購買力平価という指標を用いる。テクニカル分析はテクニカル指標を用いる。テクニカル指標もいろいろあるが、株式を取引するときでも為替を取引するときでも同じ指標を用いることができる。過去の値動きだけから計算をするため、必要なものは過去の価格のデータさえあれば何にでも応用できるわけだ。

長期投資ではファンダメンタル分析、短期売買ではテクニカル分析を主に用いると言われることが多いが、もちろん両方使ったほうが良い。

例えば買いたい銘柄があったとき、まずファンダメンタル分析をしてみる。そこであまりにも割高なら買うのをやめるが、そうではないのなら買うことに決める。が、すぐに買うのではない。ここてテクニカル分析の出番だ。トレンドに乗っているかどうか、売られ過ぎや買われ過ぎはないかなどをテクニカル指標で判断して買うタイミングを決める。

長期投資の場合、ファンダメンタル分析だけでも良いとは思うが、テクニカル分析もできるにこしたことはない。タイミングが少し違っただけでは利益はほんの少ししか変わらないとは思うが、それが積み重なり、複利効果も加わってくると、そこそこの違いになるはずだ。

インフレリスク

 インフレとは物価が上がることを意味する。例えば、今奈良1万円で買えるものが、1年後には1万2千円出さないと買えなくなる、というような状況だ。物の値段が上がっていくことを指す。

お金というのは、日常生活ではいろいろな物の価値を測るために用いられる。例えば、私の乗っている軽自動車は115万円で、私の住んでいるところの土地は1坪当たり100万円よりは安いから、この軽自動車は1坪の土地より高い、という具合に、物の価値の基準として用いられる。

普段の生活では、お金を基準として価値を測る癖がついているから、お金そのものの価値というものを考えない。しかし、お金も資産の一種でしかないのだから、その価値を考えることは大事だ。物価というのは、物の値段の事だが、お金の価値の逆だという感覚は必要であろう。

例えば、今なら100万円あれば軽自動車を買うことができるわけだが、もしも物価が2倍になったとすると、200万円出さなきゃ買えない。つまり、「100万円=1軽自動車」だったものが、「100万円=0.5軽自動車」になったわけで、100万円の価値は半減したことになる。物価が上がるとお金の価値が下がり、物価が下がるとお金の価値が上がるわけだ。

インフレとは物価が上がることを指すことばだが、それはつまりお金の価値が下がることを意味する。物価がそうたいして変わらないのなら、金をたくさん持っていれば安心だと考えても良いが、お金に頼ると痛い目を見る。

「ワシの若い頃は、10円あれば腹いっぱい食えた」などとお年寄りが言っているのをよく聞いたもんだ。日本はデフレの時代もあったが、長い目で見ればインフレが続いてきたからそんなことになるわけだ。

老後のために1億円くらい貯めて安心していたとしても、もしかすると何十年か後に、うどん1杯が1億円になっているかも知れない。インフレリスクというのは、こういうものだ。

預金や債券もインフレリスクを抱えている。例えば利回りが2%の債券を持っていたとして、物価が変わらなければ実質的に2%儲かることになるが、インフレ率が、例えば3%であれば、実質的には1%損することになる。

給料も同じで、給料が5%上がったと言って喜んでいたとしても、物価が10%上がったら貧しくなっていくということに気づかなければならない。

株式や不動産を所有することでインフレリスクを回避できる。不動産は分かりやすい。インフレとは物価が上がることを意味するわけで、不動産も「物」の一種だから、もちろん価格が上がる。株式や不動産をいくらかは持っておくというのは、インフレ対策になるわけだ。昔からお金持ちはそうやって資産を守ってきた。

昔はお金持ちしか株式や不動産を買えなかったが、今はお金持ちでなくても買える。ETFとREITは少額で投資できるから、私くらいの普通の人間にとっては非常にありがたい。


たまに見るだけ長期投資

短期売買するには、パソコンの画面にかじりつくようにして値動きを追っていかなければならない。だから時間がかかる。株式なら、証券取引所が開いている時間しか取引できないから少しマシで、FXになれば24時間取引できるから、一日の多くの時間を費やしてしまい、寝る時間がなくなる。トレーディングとはそういうものだと思う。

長期投資では、それほど多くの時間を必要としない。相場が荒れているようなときでなければ、寝る前に株価指数と為替レート、自分の保有する銘柄の損益を確認するくらいで十分だ。毎日でなくても良くて、日経平均を見るだけの日もある。注文を入れることがあっても、だいたいは機械的に注文を入れているから、大した時間は取られない。

だから長期投資は楽だ、と言いたいところだが、それは慣れてきてスタイルが確立されているからであって、最初からそうではない。最初の何年かは、画面にかじりついて相場の動きを追っていくくらいのことは必要だと私は思う。

普段は寝る前にチェックするだけだが、今回のコロナが
禍のように相場が大荒れになると、取引もこまめにしなければならない。一日に何度も取引することもある。それができるようになった上で、普段はあまり時間をかけないようにしていくべきだろう。

長期保有するならETFか

 長期保有するならETF、比較的短期の取引をするなら投資信託、こんなふうに言われたことがあった。ずいぶん昔の話だ。

ETFは売買に手数料がかかる代わりに信託報酬が安く、投資信託は売買に手数料がかからないものは多いがら信託報酬は高い。だから、長期で保有するならETF、そうでないなら投資信託と使い分けることでコストを抑えられる。

こんなことが昔は当たり前に言われていたように思う。

今は、証券会社を選べば、少額ならETFでも売買手数料がかからないし、投資信託の信託報酬も安いものがたくさんある。今のところ私はETFを使っているが、将来は分からない。投資信託のほうがあっとうてきにコストを抑えられる、そんな時代が来るかもしれない。

最近では海外市場に上昇しているETFであっても、買付手数料が無料の証券会社もある。ネット証券の広告はたまに目を通しておいたほうが良いか。時代遅れの年寄にならないために。

ダマテンって言うのね

ずいぶん昔、零細企業で働いていたときのことだ。まだ私は投資に関わってはいなくて、社長が自宅にトレーディングルームを作っていた。今から思うと、ものすごいお金をかけてたんだろうなぁ。

バソコンを2画面にするとか、専用回線を引くとかで、社長の家にはよく呼ばれたのだが、ときどき証券会社の営業マンが来ていた。

営業マンがひたすら頭を下げてハンコをもらうという光景を何度か見たように思う。間違えて取引してしまったことに対して謝罪していたようだ。社長が怒るのは当たり前で、しかし優しい社長は、最後にはハンコを押してやっていた。

間違えたのではなく、ダマテンという行為だそうだ。黙って転用するということらしいが、つまり勝手に買ったり売ったりして売買のノルマを果たすというやり方だ。営業マンが勝手に売買しないようにハンコをもらわなければならない制度があるわけだが、営業マンはひたすら頭を下げてハンコをもらう、そういうことをしていたんだろう。電話での聞き間違いと言ってみたり、とぼけてみたり、いろんな手口でハンコをもらいにくる。

ミスの多い営業マンだなぁと当時は思っていたのだが、最近ネットを見ていて違うことが分かってきた。そんなことをしなきゃならないなんて、当時の営業マンは大変だったんだろうなぁ。

株価指数とは

長期的に見れば、儲かっている企業の株価は高くなる。だから、日本の企業の株価が高ければ日本の景気は良いということになり、株価の動きを見ていれば景気判断はできる。

しかし、株価の動きと言っても、上場されているすべての株式の価格動向を毎日見るのは大変だ。全体的な動きがだいたいわかるような指標があると非常に便利だろう。そのために計算されているのが株価指数だ。

代表的なものが、日本では日経平均株価とTOPIX、アメリカならダウ工業株30種平均とS&P500などがある。指数は計算方法がそれぞれで異なるし、組み入れる銘柄の種類や数、組入比率などもそれぞれで異なる。

例えば日経平均株価は株価平均型の指数で、用されているのは東証一部に上場している銘柄のうち225銘柄。業種が偏らないように考慮して選ばれる。かつて存在した額面という概念による修正を加えた上で平均して算出する。というとややこしい話だが、多少の修正は加えるものの、基本的には株価を足して割って平均を出すという方法だ。

これに対してTOPIXは時価総額加重平均という計算方法だ。時価総額に比例して組み入れられる。つまり、時価総額(=株価✕発行済株式数)が大きい銘柄が多く組み入れられる。

アメリカの株価指数では、ダウ工業株30種平均は株価平均型、S&P500は時価総額加重平均型の指数だ。

個別の株式を取引する場合、株価指数は大まかな流れを見るために用いるから細かいところまで把握しておく必要はないが、ETFの場合には、指数と同じ値動きをするわけだから、ある程度は詳しく知っておいたほうが良い。長くなりそうなので、それについてはまたの機会に。




この時代に生まれたかった

 投資しやすい時代になったとつくづく思う。

まず、情報が入手しやすい。当たり前のことだが、情報が正しいのかどうかというのは自分で判断しなければならないわけだから、情報量が多いから良いというものでもない。しかし、少ないよりは多いほうが良い。

私が相場に関わり始めたときには、情報を得るにはずいぶん長いお金がかかったように思う。現在の株価を知ろうと思ったら、証券会社に電話をして聞かなければならない。証券会社の窓口まで行けばリアルタイムの動きを知ることはできるが、それには営業マン者に付き合ってもらわないといけないから、なんとなく借りがあるように思ってしまう。だから、営業マンから勧められたら、なんとなく買わなければならない圧力のようなものを感じたり、必要もないのに売買して手数料を落としてあげたりと、そんなことをしていたように思う。

色々勉強しようと思っても、インターネットみたいな高価なものを使えるほどではなかった。今では月々数千円で常時接続できるが、当時は数万円で常時接続できるサービスがやっと

今はネットで情報を見放題だ。データもダウンロードし放題。

売買手数料もずいぶん安くなっきた。少額の取引しかしない私は、長いこと手数料を支払っていない。商品も増えてきた。ETFが充実しているのはありがたいことだなぁと常々思う。信託報酬も安くなってきているし。

今の時代に生まれていれば、ずいぶん違っていたんだろうなぁと思う。

しかしアレか、怪しい商品もたくさんあるから、今の時代から投資を始めていたら、すぐに騙されていたかもなぁ…

土曜日は休め

 相場格言っぽくタイトルをつけてみた。相場格言に「休むも相場」とあるから休みも必要なわけで、定期的に休みを作るとすれば土曜日が良いかと思うのから、今日は相場に関しては何もしなかった。

頭をクールダウンすることは必要だと思う。考えすぎると考えが煮詰まってきて、他の考え方ができなくなってしまうのは私の悪い癖だ。「なぜこんなことに気づかなかったのんだろう」と後になって思うことがある。一回冷静になる時間は必要だ。

なぜ土曜日かというと、土曜日にやる必要がないからだ。相場が開いていないのだから取引ができない。月曜日に相場が開くからその準備はしなければならないが、日曜日にすれば十分だろう。だいたい日曜日の夕方か夜に、金曜のニューヨークを見て考えることにしている。

ずっとチャートを見て相場のことを考えるのが好きな人もいるが、私はそのタイプではない。むしろ、本業ではないから、大事なことがほかにたくさんある。週に一日くらいは相場のことを完全に忘れたほうが頭にも体にも良さそうだ。

まあ、私が勝手に決めてやっているだけで、それが良いのかどうか分からんけど。

ロスカットルール

  短期売買において、初心者からプロまで、全員がしなければならないのがロスカットだ。ロスカットとは、損失を限定することを指す。

例えば、株価が1,000円のときに買ったとしよう。上げているのならそのまま持っておけばよいが、問題は下げたときだ。950円になったときに「もうそろそろ上昇に転じるだろう」などと思ってしまうものだ。更に下げると、「900円あたりが節目だろうから、もう少しすれば上がるだろう」などと考えてしまう。そうこうしてるうちに更に下げることもあって、「これだけ下げたんだから、もう下がらないだろう」などと楽観的に考えるようになる。そして大きすぎる損失を抱えて、売るに売れなくなる。「ああ、損失が小さいうちに売っておけばよかった」などと後悔しても後の祭りだ。

相場にはトレンドが発生するのだから、下げ始めたらしばらく下げることは多い。だから、少し下げた段階で、早めに売ってしまうことで、損失を小さくできる。これをロスカット、あるいは損切り(そんぎり)と言う。

ロスカットは機械的にすべきだろう。例えば損失が5%を超えれば必ずポジションをはずす、などとルールを定めておくのが良い。その水準は人によって異なるが、5%から8%と言われることが多い。私は短期売買するときには、5%に定めている。つまり、売りであれ買いであれ、損失が5%以上になればポジションをはずす。例外なく機械的にそうするのが良い。

ロスカットルール厳密に定めるのは短期売買の場合だ。株式なら信用取引をする場合や、FX、先物取引など、レバレッジをかけて取引するときには、ロスカットルールは必ず定めるべきだ。

ロスカットルールを定めて厳密に守っていれば、大損することはない。小さい損失を発生させただけなのだから、また取引はできる。経験を積むことはできる。一度の失敗で相場に立てなくなるようなことがないように、ロスカットルールは厳密に守るべきだ。

ロスカットルールを定めるというのは短期売買の場合であって、長期で保有する場合には機械的にロスカットすることはない。長期で保有する場合でも、早めに売ることはあるが、逆に安くなったところで買い増すこともある。ケースバイケースだ。短期売買に必要なことと長期投資に必要なこととは違うということは常に頭に入れておくべきだろう。

流動性リスク

 流動性とは、大まかに言えば取引のしやすさを指す。「流動性が高い」は、いつでも取引できるという意味とだいたい同じ。

例えば、株式と不動産を比較してみよう。ある特定の不動産を買いたいとしても、所有者が売ってくれなければ買うことはできない。ほしい不動産が売りに出されるのを何年も待つというのは、珍しいことではない。所有している不動産を売却しようと思った場合、まず売り手を探してもらうところから始めなければならない。見つかるかどうかも分からない。

株式の場合、証券取引所が開いていれば、取引は可能だ。大企業であれば、大抵は売り手も買い手もいるから、飼いたいと思えばすぐに買えるし、売りたいと思えばすぐに売れる。

不動産の売買に比べれば、株式は流動性が高い。

株式の中でも流動性は異なる。日経平均採用銘柄など、多くの人が取引をする銘柄は流動性が高い。が、流動性の低いものもある。取引が行われない日があることもある。

ETFはというと、流動性を保つためにマーケットメイカーを定めている銘柄がある。マーケットメイカー制度があれば、いつでも取引ができる。この点は優れている。

流動性リスクとは、流動性が著しく低下する可能性を指す。例えば実物不動産の場合には、常に流動性リスクに晒されていると考えておくべきだろう。すぐに換金したいと思っても中々できないこともある。あまり急ぐと足元を見られて安く手放さなければならない。

株式でも流動性リスクはある。ある企業の業績が著しく悪化したり、あるいは倒産の噂が流れたりすると、株は売り一色になり、買い手不在になりやすい。

一日の出来高をチェックすることで、流動性リスクをある程度は抑えられる。

リスクとリターンの関係

リスクを厳密に定義するのは難しいから、非常に曖昧だが、「資産を失う可能性」くらいに考えることにする。リターンとは期待できる利益のこと。リスクとリターンには正の相関関係があり、これを、「ローリスクローリターン・ハイリスクハイリターン」と表現する。

つまり、リスクを小さくすれば期待できる利益も小さくなり、高いリターンを求めればリスクも大きくなる。

例えば優良企業の発行する債券への投資はローリスクローリターンだ。優良企業だから、デフォルトの可能性は極めて小さい(ローリスク)。リスクが小さければ買いたい人が増えるから価格が上がり、利回りは小さくなる(ローリターン)。

債券であっても、経営が危ない企業の発行するものはデフォルトの可能性が高い(ハイリスク)。だから買い需要が少なく、そのために価格が下がって利回りは上がる(ハイリターン)。

株式は価格の変動が大きいから大損する可能性は高いし、倒産して株価がゼロになる可能性もあるからハイリスクだ。その代わりに何倍にも増えることもあるからハイリターンだ。

一般的に

債券のリスク < 株式のリスク

となるから、リターンについても

債券のリターン < 株式のリターン

となる。信用取引や証拠金取引などを用いるとレバレッジをかけることができるが、レバレッジが大きくなればリスクもリターンも大きくなる。

例えば、FXでドル円を取引する場合を考えてみよう。FXとはつまり通貨の交換だから、つまり両替だ。ドルと円とを両替するだけなら、それほど大きなリスクはない。

これにレバレッジをかけるからリスクが高くなる。レバレッジをかけるとは、つまり借金して取引しているようなものだから、高くなって当然だ。今は規制がかかっているから無茶な取引はできないが、昔は数百倍のレバレッジをかけることができた。だから大儲けした人もいるが、資産を一瞬で失った人もたくさんいる。取引業者に預けた資金よりも損失が大きくなれば借金を背負うことになるわけだから恐ろしい。

ローリスクローリターン・ハイリスクハイリターンの関係は常に頭に入れておくべきだろう。ローリスクハイリターンとか、ゼロリスクハイリターンなどと派手に書かれた広告を目にすることはあるが、リターンだけ高くてリスクが低いなんてことはまずない。そういう商品をみかけたら疑ってかかるべきだろう。

リスクゼロにしたければ投資しなければ良い。もちろんリターンもゼロだ。どれくらいのリスクなら許容できるのかを把握した上でリスク管理をする必要がある。

私の場合、余ったお金でETFを買い集めている。レバレッジはかけていないから、相場がどれだけ急変しても借金をかかえることはない。最も損する場合でも投じた資金の全額を失うだけだ。ETFは分散が効いているから、価格がゼロになることはまずない。仮に投じた資金がゼロになったとしても、もともと使う予定のないお金だから、なくなっても生きていけなくなるわけではない。これくらいのリスクなら許容できる。

しかし、生活に必要な資金を投資している場合には高いリスクを抱えることはできない。予想が外れて家賃を払えなくなる、なんてことがあってはならないから、リスクの低い債券やMMCなどに投資すべきだろう。

短期売買と長期投資

株、債券、為替、先物取引など、資産運用のためのものはいろいろあるが、まずどういうスタンスで運用するのかをはっきりさせなければならない。短期売買をするのと長期投資をするのとでは、取引するものは違うし、分析方法も違う。

投資するために必要な知識や技術を解説したサイトや書籍など、情報源はいろいろあるが、その情報が短期のものなのか長期のものなのか意識しながら読む必要がある。

例えば、ロスカットルールを定めることは、短期売買をするときには絶対必要なものだ。以前に日経平均の先物とオプションを取引していたときには、厳密にロスカットルールを定めていた。

しかし、長期投資に切り替えた今では、ロスカットルールを決めたことはない。含み損を抱えていても、あまり気にしない。それどころか、安くなったのだから買い増すのもよくあることだ。

短期売買で、安くなったから買おう、などと思うことはまずない。

短期売買と長期投資とでは必要なことが異なる。情報を集める前に、このことをまず知っておくべきだろう。

分散しやすいETF

分散投資は、リスク管理の基本中の基本だ。分散投資とは、複数の銘柄に投資することを指す。数学を用いれば簡単にリスクを計算できるから便利なのだが、そこまでしなくても直感的に分かるだろう。

例えば、ある企業の株に全資金を投資した場合、その企業が倒産すると全資金を失うことになる。2つの企業の株に半分ずつ投資していれば、どちらかが倒産したとして影響は半分で済む。大まかに言えば、分散投資とはこういうことだ。

100の企業の株に投資すれば、1つの企業が倒産しても影響は1%にすぎない。こうやって個別企業に関するリスクを軽減することができる。これを簡単にできるというのがETFを利用する理由の一つでもある。

実際のところ、100銘柄に分散投資しようと思ったとしても、簡単にはできない。例えば、1銘柄の最低購入価格が50万円だとすると、最低でも5,000万円の資金が必要になる。まあ、できる人はできるだろうが、それでも十分な分散ができるわけではない。

ETFなら簡単に分散ができる。例えば、TOPIXに連動するETFを買えば、東証一部に上場している銘柄をすべて買うのと同じで、現時点では1万円台で買うことができるメリットは大きい。ネット証券なら、売買手数料をゼロにできるのだからありがたい。

ETFを保有するには信託報酬などのコストがかかるが、メリットのほうが十分大きいだろう。海外の資産を対象とした国内ETFならメリットは更に大きい。例えばS&P500に連動するETFが東証に上場されている。個別に株式を買うコストを考えれば、ETFのメリットは大きすぎる。






地震が起こって円高か

東日本大震災が起こったとき、円高がひどかった。日本の経済が悪化すると予想すれば円の価値が下がりそうなものたが、上がったのは、相場が需給で動くからだ。

保険会社は相場のメジャープレーヤーだ。保険会社は国内外で資産運用をしているわけだが、災害が起これば保険金の支払いが必要となる。海外で運用している株式や債券を売却し、それを日本円に換金して保険金の支払いに備える。そのため、日本円が買われて円高になる。

このように考えるのは妥当だ。

この考え方が正当性を持つのなら、円を買うべきであって、為替トレーダーなら円買いのポジションを持つのは当然だろう。こうやって円の買いが膨らんでいく。

実際に保険会社が円を買ったのかどうかが問題なのではない。相場参加者が円高になると予想するから円高になるという特徴が相場にはある。そして、一度トレンドが発生すると、参加者の多くがトレンドに追随するから、トレンドが強くなる。これも相場の特徴だ。

リスク管理がすべて

将来的に株価が上がりそうな企業を探して投資するたけなら、おそらく誰にでもできるだろう。それだけでそこそこ儲けることはできると思うし、投資経験のある人なら、一度くらいは大儲けしているはずだ。

値上がりしそうなものを買って値下がりしそうなものを売れば良いだけのことで、そんなことは誰でもわかっているのだが、それにも関わらず大損して相場から退場する人が多いのは、一度のミスで致命傷を負うからた。

どんな素晴らしい投資家であっても、予想がすべて当たるなんてことはない。人間は神様ではないのだから未来は分からない。全戦全勝と言っている人がいるとすれば、数回だけ偶然勝ったか、あるいは神様か、それとも嘘をついているかのどれかだろう。

負けることもあるという前提で戦略を練らなければならない。リスク管理というと難しく聞こえるが、負けることを想定して予め対処することだと私は考えている。

リスク管理の方法は色々あり、投資をしている人ならもちろんたくさん知っているだろう。それら。すべて実践すればリスクがなくなるのかというとそうではない。当たり前だが、リスクを取らなければリターンもないわけで、どこまでのリスクを許容するのかを考えるべきだろう。

リスクは避けるべきではなくて管理するべきものだ。

安倍さんがやめてもしばらくは安心

国策に売りなし、国策に逆らうな、などと相場格言にある。国の政策が常に成功するわけではないが、それでも市場に与える影響は大きすぎる。

アベノミクスは景気を回復させることが目的であるが、その手段として株価を釣り上げた。おかげで随分と資産は増えた。このままアベノミクスが続いてくれることを願ったとしても、安倍さんが辞めてしまうとどうなるのだろうかと。

結論的に言うと、あまり大きな変化はないように思う。今の相場は金融緩和によってもたらされているわけで、日銀も今から引き締めるのも難しいだろう。下手に引き締めると大暴落を招きかねない。総理が変わった瞬間に暴落するのは、新総理としても面白くないはずだ。

総理が変わっても日銀の総裁が変わるわけではなくて、黒田さんは相変わらず総裁にとどまる。黒田さんが総裁をしている間は、金融緩和路線は変わらないだろう。

もちろんこういうときには相場を注視しておくべきで、大きな変化があったときにはすぐ対処しなければならないが、しばらくは投資スタンスを変えずに行こうかと思う。

長期投資は一度切り

どこで読んだのか忘れたのだが、なるほどそうだと思える言葉があった。
長期投資は一度しかできない
長期投資は数十年単位で行うものだから、一生に一度しかできない。何度か練習をしてうまくなってから始めよう、というわけにはいかない。
私の場合、幸いにも二十代で投資に関わることができた。その時は短期売買がメインだったが、しばらくして長期投資に切り替えた。長期投資に適した環境が整ったからだ。
短期売買は、一攫千金を狙える代わりに一文無しになりやすい。借金を背負うこともあるから気をつけなければならない。長期投資は一気に資産が増えることはないが、適切にリスク管理をしていけば資産を増やしやすい。
今回のコロナの大流行のような事故はたまにあるが、だいたい何とかなる。コロナで一時的に大赤字になったが、組み換えがうまくいったおかげで、コロナの前より資産は増えた。
ETFを使って投資し始めてから、何かあって株価が大きく下げることがあっても、その後、もとより増えている。長期投資はそういうものなのか、あるいはただ幸運だっただけなのか分からないが、今のところは成功している。
せっかくなのでその手法をぼちぼち紹介していこうかと思う。

できるだけ指値

ETFの中には出来高の小さいものもある。例えば、1391はスイスの株価指数に投資できるETFだが、とにかく板が薄い。買気配と売気配の幅が大きいから、成行で注文を入れると不利な価格で約定することがある。 とにかく指値で注文するほうが良いかと思っている。板を見てから注文しなきゃならな...