短期売買において、初心者からプロまで、全員がしなければならないのがロスカットだ。ロスカットとは、損失を限定することを指す。
例えば、株価が1,000円のときに買ったとしよう。上げているのならそのまま持っておけばよいが、問題は下げたときだ。950円になったときに「もうそろそろ上昇に転じるだろう」などと思ってしまうものだ。更に下げると、「900円あたりが節目だろうから、もう少しすれば上がるだろう」などと考えてしまう。そうこうしてるうちに更に下げることもあって、「これだけ下げたんだから、もう下がらないだろう」などと楽観的に考えるようになる。そして大きすぎる損失を抱えて、売るに売れなくなる。「ああ、損失が小さいうちに売っておけばよかった」などと後悔しても後の祭りだ。
相場にはトレンドが発生するのだから、下げ始めたらしばらく下げることは多い。だから、少し下げた段階で、早めに売ってしまうことで、損失を小さくできる。これをロスカット、あるいは損切り(そんぎり)と言う。
ロスカットは機械的にすべきだろう。例えば損失が5%を超えれば必ずポジションをはずす、などとルールを定めておくのが良い。その水準は人によって異なるが、5%から8%と言われることが多い。私は短期売買するときには、5%に定めている。つまり、売りであれ買いであれ、損失が5%以上になればポジションをはずす。例外なく機械的にそうするのが良い。
ロスカットルール厳密に定めるのは短期売買の場合だ。株式なら信用取引をする場合や、FX、先物取引など、レバレッジをかけて取引するときには、ロスカットルールは必ず定めるべきだ。
ロスカットルールを定めて厳密に守っていれば、大損することはない。小さい損失を発生させただけなのだから、また取引はできる。経験を積むことはできる。一度の失敗で相場に立てなくなるようなことがないように、ロスカットルールは厳密に守るべきだ。
ロスカットルールを定めるというのは短期売買の場合であって、長期で保有する場合には機械的にロスカットすることはない。長期で保有する場合でも、早めに売ることはあるが、逆に安くなったところで買い増すこともある。ケースバイケースだ。短期売買に必要なことと長期投資に必要なこととは違うということは常に頭に入れておくべきだろう。