株価収益率 PER

 前回の続き。

企業A
株価 1,000円
発行済株式数  100万株
純利益 8千万円 

企業B
株価 500円
発行済株式数  500万株
純利益 1億5千万円

まず、「1株利益」あるいは「EPS(Earnings Per Share)」と呼ばれる指標だ。1株当たりの利益を指す。だから、発行済株式数で割れば良い。企業AのEPSは、

8千万円 ÷ 100万株 = 80円

企業BのEPSは、

1億5千万円 ÷ 500万株 = 30円

となる。 利益をもとにして考えた場合の1株の価値は、それぞれこうなる。企業Aのほうが、1株の価値が高いといことが分かる。

では、どちらが割安なのかというと、企業Bは企業Aと比べると、株価は半分だから、もしもEPSも半分なら同じ価値を持つと言っても良い。が、EPSは半分以下だ。株価の割には利益が小さいと考えれば割高なのだろう、と考えることができるが、しかしこれを毎回考えるのは面倒くさい。だから、比で考えてしまうと、数字の大小で比較できるかは楽だ。これが「株価収益率」、「PER(Price Earrings Ratio)」、「P/E」と呼ばれるものだ。

PER  = 株価 ÷ EPS

この式から、株価が高いとPERは大きくなることが分かる。つまり、PERが大きいほど割高だ。企業AのPERは、

1,000 ÷ 80 = 12.5

となり、企業BのPERは、

500 ÷ 30 =  16.7

となる。だから、企業Aのほうが割安だ。單純にPERが小さい方が割安と覚えておいても良い。計算式から考えるとPERの意味は、株価が利益の何倍か、ということである。だから、PERの単位は「倍」を使う。

利益というのは、通常は1年間の純利益から計算するから、例えばPERが10倍であれば、1年間の利益の10倍の株価で取引されているわけだから、「10年分買われている」などと表現される場合もある。

比で考えるためには、どちらをどちらで割っても良いわけだから、計算式を

EPS ÷ 株価

としても良さそうだ。実際、これは 「株式益回り」と呼ばれる指標として存在し、使われることもある。が、株式投の場面ではPERのほうがよく使われる。

PERは相対的な使い方が良いと、私は思う。PER10倍以下なら安い、というように、水準をだいたい把握しておくことは必要かもしれないが、業種によって利益の出しやすさというのは違うのだから、PERも業種によって違ってくる。まったく違う業種の2つの企業を比較して、こちらの企業はPERが小さいので割安だ、と考えるのはどうだろう。ある業種があって、その業種ではPERはだいたい13倍から15倍なのに、ある企業は10倍しかない、だから割安だ、というように考えるのは妥当だ。あるいは、ずっとPERの大きった企業が一時的に小さくなっていれば、割安だから買うべきかどうか考えてみる、というのもアリだ。

しかし、PERが小さいから買うべきだ、と考えるべきではない。PERには予想PERと実績PERがあり、予想PERを使うことが多い。計算するときの純利益の数値として、今期の予想の数値を用いるのが予想PERで、前期の確定した数値を用いたのが実績PERだ。予想PERは企業側が発表する業績予想に基づいて計算される。だから、発表されると再計算することになる。

PERが小さいからずいぶんと割安と判断するまでは良いが、その理由を考える必要はある。業績とは関係のない理由で売られて株価が下がっているのが原因なら、問題なく買えばよい。しかし、その企業や業種で何か起こっていて、業績の悪化が見込まれることもある。予想PERに反映される前に株価が下落しているのなら要注意だ。

できるだけ指値

ETFの中には出来高の小さいものもある。例えば、1391はスイスの株価指数に投資できるETFだが、とにかく板が薄い。買気配と売気配の幅が大きいから、成行で注文を入れると不利な価格で約定することがある。 とにかく指値で注文するほうが良いかと思っている。板を見てから注文しなきゃならな...