ずいぶん昔、零細企業で働いていたときのことだ。まだ私は投資に関わってはいなくて、社長が自宅にトレーディングルームを作っていた。今から思うと、ものすごいお金をかけてたんだろうなぁ。
バソコンを2画面にするとか、専用回線を引くとかで、社長の家にはよく呼ばれたのだが、ときどき証券会社の営業マンが来ていた。
営業マンがひたすら頭を下げてハンコをもらうという光景を何度か見たように思う。間違えて取引してしまったことに対して謝罪していたようだ。社長が怒るのは当たり前で、しかし優しい社長は、最後にはハンコを押してやっていた。
間違えたのではなく、ダマテンという行為だそうだ。黙って転用するということらしいが、つまり勝手に買ったり売ったりして売買のノルマを果たすというやり方だ。営業マンが勝手に売買しないようにハンコをもらわなければならない制度があるわけだが、営業マンはひたすら頭を下げてハンコをもらう、そういうことをしていたんだろう。電話での聞き間違いと言ってみたり、とぼけてみたり、いろんな手口でハンコをもらいにくる。
ミスの多い営業マンだなぁと当時は思っていたのだが、最近ネットを見ていて違うことが分かってきた。そんなことをしなきゃならないなんて、当時の営業マンは大変だったんだろうなぁ。